第21章 私立リアリン学園!7時間目~カイン~
「だから、悪かったって言ってるだろがっ。俺は、事実がどうだろうと守りたかったんだよ。その………マイン先生は、俺らの仲間だし」
カインの言葉は、小さくなっていて聞き取りづらい。
「え、今、何て言った?」
私は、とぼけて聞き返す。
「二度と言わねえ!」
カインは、顔を赤らめ、そっぽを向く。
そっか。
―――仲間って。
そんなふうに思ってくれていたんだ。
カインの気持ちを聞けてよかった。
すごく嬉しい。
と、同時に。
学園内でそんな噂が広まってたことに、少なからずともショックを受ける。
人の噂って、本人には聞こえてこないものなんだな………。
「おい、今度こそ脱線終了」
カインは、シャーペンを握り直すと、英和辞書を捲りながら、回答用紙に向き合う。
「なあ。これ、ジル教頭も見るのかよ?」
「ううん。一任されてるから、私が合格点出せば、それで終了だよ」
「了解」
カインは、カツカツと筆を進めていく。
あ、ちゃんと日本語で書いてる―――。
ほっとして、改めてカインを見る。
少し癖のある黒い髪。切れ長の瞳に長いまつげ。
すっと通った鼻に形のいい薄い唇。整った輪郭―――。
芸能人ぽい顔立ちだよね。
こういう人を絵になるっていうのかな………。
あ、もちろん、口を開かなければ、ね。
「見惚れんなよ」
カインは、顔を上げずに言う。
「み、見惚れてなんかないし!自意識過剰!」
「ふーん。そういうことにしてやる」
カインは、手を止めることなくニヤリと笑みを浮かべる。
もうっ。