第21章 私立リアリン学園!7時間目~カイン~
ふうっと。
カインが観念したように、ため息をつく。
「………モノ準備して行く。なんもないとヤリづらいだろ。で、どこでヤルんだよ」
私の部屋で、と言おうと思ったけど。
さすがにそれは、まずいかな………。
「じゃ、食堂で待ってる」
食堂に誰も来ないという保証はない。
でも、他に場所がないし。
生徒会の皆は部屋にいるし、サッカー部は夕方まで戻らない。
とりあえず………誰にも邪魔されずに、二人きりで集中できるよね。
私も一度部屋に戻って、ボストンバッグの中からトートバッグを引き出す。
とりあえずこれ、持って。
あ、なんか、ドキドキしてきた。
こんなの初めてで、緊張する―――。
食堂に入ってすぐの壁に寄りかかって、カインを待つ。
少しすると。
ガチャリとドアが開き、ムスっとした表情のカインが入って来る。
「とっとと終わらせようぜ」
カインが私に近づいてきて―――。
「ち、ちょっと、待って」
距離、近いよっ。
私は、鼓動が早くなっていくのを感じる。
「ジル教頭に言われたから仕方なく、だ。マイン先生だってそうだろ?」
「………私は、それだけじゃないよ。カインのことが心配だから」
「心配、ね」
カインは、近くの椅子を引くと、ドカリと腰を下ろした。
「始めるぞ」
トントンと、テーブルを指で叩く。
私は、大きく息を吸って………カインにゆっくり、ゆっくり近づいていった。