第21章 私立リアリン学園!7時間目~カイン~
「片付け終了~」
そう言うと。
カインは、振り返りもせず、台所から出て行った。
「も~~う!いい加減な奴!」
カインの後ろ姿を見送りながら、ふくれる。
「相変わらずだよねー」
のんびりとした口調が耳に入る。
振り向くと、ノアがヘラッと笑う。
「マイン先生は、本当にカインがいい加減な奴って思ってる?」
「思ってるもなにも、自分からいい加減な奴に思われるように言ってるんだよ?」
もう一度、カインの去った方を見ながら声を張り上げる。
………でも、もうカインには聞こえないか。
「そー、自分からいい加減な奴に思われるように言ってるんだよね」
ノアが、私の言葉を繰り返す。
含みのあるノアの言い方。
「………どういうこと?」
私は蛇口をひねって水を止め、聞き返す。
「んー、明日のサッカー部の試合、確かに重要なんだよね。だけど、明後日には学園のメイン行事の一つ、生徒総会がある。カインのことだから両立させることだってできるだろうけど、サッカーはチームワークが大事だよね。練習に出たり出なかったりじゃチームがまとまらないからさ。それに、生徒会はこの少ない人数ですべて取り仕切ってるから、役割大きいよね。だから、今回は生徒会に専念するって決めたんじゃないかな」
「………」
「今回の合宿もサッカー部が心配だからって合同にしたの、カインだし」
サッカー部との合同って………。
単に時期が重なったわけじゃなかったんだ。
「それならそうと言えばいいのに………でも、それ、カインがノアに言ったの?」
「そうじゃないけど」
「え?それじゃ、ノアの憶測でしかないよね?」
「言わなくてもわかる。カインとは、つきあい長いから」
ノアが、真面目な顔できっぱりと言い切る。
その様子で、本当にカインのことを、わかって言ってるんだなと伝わってきた。