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【イケメン王宮・イケヴァン】りありん劇場♥R18

第19章 私立リアリン学園!6時間目~ゼノ~




ふうっ。



「紅茶が好きなのか?」

「はい、実は私、コーヒー飲めないんで」

「なぜだ?」

「苦いから」



ゼノ様は、私の答えに一瞬目を丸くして。

次の瞬間、柔らかい笑顔になる。



「ずいぶん子どもっぽい理由だな」

「子どもの頃から、そうなんです!」

「そうか。しかし、あの時はコーヒーを飲んでいたのでは?ミルクティーより濃かったように思うが」

「あの時?………って、いつですか?」

「初めて逢った時だ」



ああ―――。

ゼノ様と初めて逢った、夏休みのカフェ。



「あの時は、ココアでした」



「ココアか」



そんなことまで覚えているなんて………。



でも。

私も、あの時のことは、一つ残らず覚えている。



小さなメモが、私のすぐ足元に落ちて。

ゼノ様に渡そうとしたら、アルバートに遮られて………。



「あのメモに書かれていたのは、ゼノ様の国の文字ですか?」

「………あれは、母の国のだ。もっとも、消滅してしまったので今は誰もあの文字を使う者はいない」

「そうだったんですね。なんて書いてあったのですか?」

「ただの走り書きだ………しかし、あれしか母の物は残っていないので大事に持っている」



………。



その言葉で、ゼノ様のお母様は、もうこの世にはいないのだと悟る。







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