第19章 私立リアリン学園!6時間目~ゼノ~
「あの日、なぜ泣いた?」
「………」
聞かれて。
すぐに思いついた。
生徒会室で、二人きりになったあの日―――。
『悪いが、俺は仕事を早く終わらせたい』
私のことを迷惑そうにそう言った、ゼノ様が忘れらない。
確かに、私が悪いんだけどね。
「アルから聞いた。泣いていたらしい、とな。俺のせいか?」
「………っ、ゼノ様のせいじゃありません!あれは、私が………」
言いかけて、口を押さえる。
これじゃ、私が泣いていたのを認めたのも同然だ。
けれど。
「聞かせてくれないか………あれ以来、マイン先生の俺に対する態度が変わったと思うのは、気のせいではないよな?」
そう言われて。
観念して話し始める。
「私が悪いんです。ゼノ様は忙しいのに、つまらない話ばかりしてしまって………あの時は、すみません」
「………つまらない、などと思ってはいなかったが?」
「え、だって………『仕事を早く終わらせたい』って言いましたよね?私のせいで仕事が中断しちゃって。迷惑だったのでは?」
「あれは………」
一瞬、ゼノ様が言葉に詰まる。
「………?」
「二年前の俺を見てかわいい、などと言うから」
ゼノ様が、私から目を逸らす。
………。
ゼノ様の頬が、うっすらと赤く染まっているのは、気のせいじゃないよね?
え、もしかして………照れてる!?
えっと、えっと………それって、どういうこと?
照れ隠しだったってこと?
じゃ、私と話すのが嫌だったわけじゃなくて。
―――私の勘違い!?