第19章 私立リアリン学園!6時間目~ゼノ~
もっと空を仰ぎ見たい。
もっと、もっと、と―――。
私は、無意識に首を後ろにそらしていく………。
と。
ガクリッ、と。
体勢が崩れて。
あ、どうしよ、転ぶ―――。
そう思った時、ゼノ様をすぐ近くに感じて。
腕を広げているゼノ様………。
けれど、私はなんとか自力で体勢を立て直し、ほっと安堵の息をつく―――。
「大丈夫か?」
「あ………はい」
ゼノ様の腕が、不自然に下げられる。
それを見て、我に返る。
ゼノ様………私を支えようとしてくれたんだね。
あのまま転びかけていたら、あの力強い腕で抱きとめられてた?
………って、私って、バカ!
大バカ!
とっさに、転ぶのみっともないって頭が働いて、頑張っちゃったけど。
ゼノ様に助けられてみたかった!!!
私、ほんとにバカだよお………。
も、なんか、こんな時だけ反射神経よかったりして。
そんな自分が、恨めしい………。
「どうした?」
ゼノ様が、私の顔を覗きこむ。
「は、いえ、どうもしませんっ」
私は、ドキドキする自分を必死に抑えて答える。
「マイン先生は、表情がよく変わるな」
「えっ」
「困ってるのか、驚いてるのか………わかりやすい時もあれば、時に、なぜそのような表情をするのかと、思うことがある」
「そうですか………」
「俺は、人の感情に疎い。知りたいと思うこともなかった。だが………」
ゼノ様は、まっすぐに私を見つめている。
吸い込まれそうなほどの、夜よりも深い濃い瞳。
その強い輝きから、目を逸らせなくて………。