第19章 私立リアリン学園!6時間目~ゼノ~
「なあ、おい………」
急にカインが声を潜める。
「ルーは、どうすんだよ?」
皆は、一斉にアルバートの方を向く。
難しい顔をして、茶色や赤のスパイスを一生懸命混ぜている。
………なんか、まだかかりそう。
「ルーなしのカレーは、食べたくないな」
レオが呟く。
「こだわりカレーでも、タイムリミットってのがあるからね」
ユーリが軽くため息をつく。
「どうした」
ゼノ様が、食堂から戻ってくる。
「できたのか?」
「あの、それが、アルバートのカレールーが、まだなので………」
私は、小声で伝える。
「アル、できたのか?皆が待ってる」
ゼノ様が、アルバートに声をかけてくれる。
「すみません、お待たせしました。完成です」
アルバートは、カレー粉の入った器を持って、意気揚々とこちらにやって来る。
私達は、顔を見合わせて、ほっとしたけれど。
すぐに思う―――。
………あの調合、大丈夫なのかな。
「ちょっと待て、アルバート。もう少し炒めてから入れるから、そこ置いておけ。後は俺がやる」
………カインが、機転を利かしてくれたようだ。
私達が箱に入った市販のカレールーに視線を送ると、カインは了解したと言わんばかりに、片目をつむってみせる。