第19章 私立リアリン学園!6時間目~ゼノ~
アランが、私の方に向かって歩いてくる。
「全然進んでねえじゃん」
ユーリが切り終わったたくさんのお肉と、私の二、三切れしか切っていないお肉を見比べている。
「これは………っ」
皆に切り方を教えてたから進んでないだけで………と、言い訳しようかと思ったけど。
「貸して」
アランが手を出すので、包丁を渡す。
「俺がやった方が早い。マイン先生は、野菜切って」
「私、お肉で大丈夫だよ?」
「肉の方が切るの、力いるだろ。遠慮とか必要ないから」
………あ、そういうことだったのか。
アランって、なんだかんだで優しいんだよね。
手際よくお肉を切っていくアラン。
うわ、早いし、綺麗。
「さっすが、アラン様。十人力だね」
ユーリも感心している。
そして、私は、別のことに気づく。
「ねえ、どうしてユーリは、アラン様なんて呼ぶの?」
ゼノ様のことは、皆が様づけしてるから不思議ではないけど。
アランとユーリは、同じクラスだし………。
「俺、実は皆より一コ下なんだよね」
「え、そうなの?どうして?」
「飛び級したんだ」
「飛び級?なんで?」
私は、驚いて声が大きくなる。
「なんでって?それは、優秀だから、だよ」
いつものように、朗らかに笑って答えるユーリ。
「優秀なんだあ」
「あれ、信用してない?」
「ううん、そういうわけじゃないけど」
飛び級なんて。
外国では、そういう制度あるみたいだけど。
私の周りでは、なかなか聞かないから、ちょっとびっくりだった。
この学園は、いろんな制度を取り入れてるんだな―――。