第19章 私立リアリン学園!6時間目~ゼノ~
「おい、芽がなんだって?どうやって取るって?」
カインの声にはっとして、向き直る。
「ここ、これが芽。というか、その持ち方、危なっかしいなあ」
「は?うるせえ。俺様は、この方がやりやすいんだ」
「人に聞いておいて、その態度?それにちょっと剥き方、雑じゃない?」
「ジャガイモがデコボコし過ぎなんだよ。リンゴならうまく剥けるんだ。おい、ユーリ、リンゴに替えてこい!」
カインが、ユーリに向かって、わけのわからないことを言いだす。
「えー、無茶苦茶だなあ」
ユーリも困ったように笑う。
私は、ゼノ様の方をもう一度振り返る。
あっというまに次のジャガイモに取りかかっている。
………私が教える必要は、もうないみたいだね。
私は、小さくため息をついて、中断していた豚肉を切り始める。
調理を進めていると。
「カイン先輩」
台所の入口のドアが開き、そこにはアランが立っていた。
「俺ら、練習に行きますけど、何人か手伝いした方がいいっすか?」
カインは、皆を見渡す。
「マイン先生、そっちは、人員足りてるのか?」
「えっと」
私は、剥き終わったジャガイモと人参の山を指差す。
これも全部切るんだもんね。
お手伝いは、多い方がいいけどな。