第19章 私立リアリン学園!6時間目~ゼノ~
辺りを見回すと、皆それぞれに準備を始めている。
………料理したことあるのかな。
皆は、皮むき器を手に、ジャガイモの皮むきを始めている。
………ミシェルとレオは、問題なさそう。上手に剥いている。
カインは、と………。
皮むき器の持ち方が、個性的だなあ。
それでも、意外とうまく剥けているから不思議。
………そして、ゼノ様。
カインの皮むきをお手本にしようとしているのか、カインの手つきをじっと見ていて………納得したかのように皮むきを始めようとしている―――!!
「あのっ、ゼノ様!」
私は、慌ててゼノ様の元へ駆けていく。
「皮むき器は、こうやって持ちます………それで、このように剥いていくんです」
私は、ゼノ様の手から皮むき器を奪うように取ると、使い方を実演してみせる。
「なるほど」
「それと、芽はこの反対側のここで、このようにすると取れますので」
私は、皮むき器を反対に持ち、芽を取り除く。
「芽?」
「ジャガイモの芽です。ないのもありますが、もしあったら、必ず取り除いてください。食中毒の要因になりますから」
ゼノ様に皮むき器を返すと、私の教えどおりに皮を剥き始める。
元々、器用なのだろう。
すぐに上手に剥けるようになっていた。
「ありがとう」
―――ドキンッ。
ゼノ様の、率直なありがとうが、胸に響いて………。
嬉しいのに、いたたまれないような、おかしな気持ちになる―――。