第19章 私立リアリン学園!6時間目~ゼノ~
「俺も、マイン先生に同意だ」
「え?」
珍しい。
カインが、私に賛成するなんて………。
「『廊下は走れ』だ。今回ばかりは、マイン先生と意見が合うようだな」
カインは、満足気に笑みを浮かべている。
『廊下は、走れ』!?
「はあ?ちょっと!私は、走れなんて言ってないし!」
「サッカー部員が、練習の始まりにいつも廊下を走って行くので、手を焼いているのです」
アルバートが言うと。
「一分一秒でも練習時間が惜しいからな」
カインが、ふんぞり返って答える。
「サッカー部は、カインがキャプテンになってから、廊下走るのあたりまえになってるんだよね」
レオが苦笑する。
「キャプテンって………カイン、サッカー部なの?」
私は、驚く。
「ああ、サッカー部のエースだ」
「エース?ほんとに?」
「は?テメエ、何疑ってんだよ?」
「だって、こないだ見た時、アランの声援ばっかりで、誰もカインって呼んでなかったよ?」
「んなわけねえだろ!耳、悪いんじゃねえのか?」
そう言われても………ほんとにそうだし。
サッカー部の練習風景を思い起こす。
アランファンの女のコだらけで、他の誰かの名前を呼んでるコなんて一人もいなかった。
それは、絶対、聞き間違いなんかじゃないもん!
「それ、マイン先生が見回りの日のことだよね?あの日は生徒会あったから、カインまだ練習に出てなかったんじゃないかな。サッカー部は、アランとカインが人気競ってるってのは事実だよ」
レオが間に入って、説明してくれる。
「ふーん」
そうだったんだ。
カインも人気者、なんだ。
口は悪いけど、見た目はかっこいいもんね。
………口は、ほんとに悪いけど!
「ふーん、じゃねえっ。わかったか?」
偉そうに言い放つカイン。