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【イケメン王宮・イケヴァン】りありん劇場♥R18

第2章 ピアノレッスン~イケヴァン・モーツァルト~ 序章




~ピアノレッスン~





「………俺のレッスン、厳しいけど?」



小さな呟きが、耳に入る。

え、それって………。

「教えてくれるの?」

「一応、そう言ってるつもりだけど」

「ありがとう!すっごく嬉しい~~っ!」

思わず、モー君に抱きついて―――。

「え、ちょっと………」

勢いがつき過ぎたのか、モー君の座っている椅子がグラリと揺れて………。

そのままの体勢で、一緒に倒れていった―――。





何が起こったのか、とっさに思い出せず………。

硬い、胸板。

温かい体温。

背中にまわされた両の手のひらの熱。

微かに香る、汗の匂い―――。

気づけば、私は、モー君の上に覆いかぶさっていて、抱きしめられる形になっていた。



「痛い。重い」



頭のすぐ上で響く、声。

………顔を上げると、目の前には、モー君の整った顔。

―――っ!

「ご、ごめんなさい!」

私は、急いで起き上がる。

モー君もゆっくりと立ち上がり、倒れた椅子を元に戻す。

「………さっそく始めるけど」

「お、お願いしますっ!」

私は、照れ隠しに大声を上げる。

「うるさい………」

モー君は、顔をしかめる。

「あ、ごめんっ」



モー君は隅に置いてある椅子を気だるそうに持って来ると、ピアノの前に置く。

左側の椅子に座ると、私に手招きして、座るよう、促す。

すぐ隣りに座ると、思っていたよりも距離が近くてドキドキしてしまう。

「初見で弾ける?」

「少しなら」

私は、先ほどのモー君の演奏を思い浮かべながら、楽譜に沿って、ゆっくりゆっくり、メロディーを奏でる。

うわ、思った以上に難しい。

曲の続きを聴きたくて、つっかえながらも、先を弾き続ける。

ふと、隣りから同じメロディーが、聴こえて来る。

モー君が、私に合わせて弾いてくれているのだ。

―――なんて心地いいのだろう。

モー君のピアノが好き。

伝わる情熱が、好き。

届きたい。

少しでも、近づきたい。

近づきたいよ―――。







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