第19章 私立リアリン学園!6時間目~ゼノ~
この頃のゼノ様も、そうだったのかな。
体格の大きい上級生に囲まれてるからか、心なし小さく感じられるゼノ様―――。
「この写真は、入学したばかりの頃ですよね?ふふっ、かわいい」
写真の中のゼノ様は、唇をキュッと引き結び、まっすぐ正面を見据えている。
まだ、あどけなさの残る顔つきをしていても、瞳には、強い意思をしっかりと宿している。
こんなゼノ様を見れるなんて!
ほんと、お宝写真だわ♪
「………」
「ね、写真は、これだけですか?他にもあったら見たいなあ」
「マイン先生」
「はい?」
おっ、お宝写真、ザックザク出てくる?
私は、ワクワクして顔を上げる。
と。
「悪いが、俺は仕事を早く終わらせたい」
ゼノ様の表情は、思っていたのとは違って、ものすごく固くて………。
―――あ。
そうだよね。
ここには、おしゃべりしに来たんじゃないんだ。
ゼノ様には、やることがあって、忙しくて。
それなのに、私ったら………。
「あの、ごめんなさい。私、邪魔ですよね。帰ります!」
私は、ファイルを棚に戻すと、なにか言いかけたゼノ様を後にして、急いで生徒会室を出た。
きっと、気にするな、とか言ってくれようとしたのだろうけど。
………これ以上、邪魔したくない。
ゼノ様の時間を無駄にさせたくない。