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【イケメン王宮・イケヴァン】りありん劇場♥R18

第2章 ピアノレッスン~イケヴァン・モーツァルト~ 序章




名前を呼ばれて、思わずドキッとする。

写真のとおりの端正な顔立ち。思っていたより長身で細身で………。

ううん、そんな事よりも。

何よりも目を奪われるのは、その、パープルの瞳。

濃い、強い光をたたえたその深い瞳に、吸い込まれそうな感覚に陥る………。

………っと、失礼だよね………。

慌てて、視線を逸らす。

「大学の中を案内して、とかなら無理だから。ほとんど知らない」

そう言って、モー君は、床に散らばった紙を無造作に避けながらピアノの前に座る。

私は、屈んで足元の紙を一枚拾う。

これ、楽譜?

書きかけの楽譜。

作曲途中って事、だよね。

すぐそばの紙をまた拾おうと手を伸ばすと………。

「それ、そのままにしておいて」

鋭い口調に、思わず手を引っ込める。

けど………。

「だって。これじゃ………」

「君にとっては散らかっているように見えるだろうけど。俺は、そこに順に並べて置いてある」

私の反論の隙を与えず、続けられる。

………これが、並べてある?

私は仕方なく、黙って立ち上がる。

楽譜を踏まないよう注意しながら、ピアノの側へと向かう。

ピアノの前に置かれた楽譜。

私は、楽譜にじっと見入る。

「近い」

「あ、ごめんなさい」

私は一歩下がりながらも、楽譜から目が離せない。

「素敵な曲ですね」

「………」

返事があるものと思っていたのに、何もなかったので、すぐ横のモー君に視線を向ける。

………え、あれっ?

心なしか頬を染め、俯いているモー君。

もしかして………照れてる?

「そういうの、何気なく言わないで」

「え、そういうのって………だって、ほんとに素敵でっ………」

なんだか、私まで恥ずかしくなってきて、つい、ムキになって繰り返す。

「声、大きい」

「あ、ご、ごめ………フガッ………」

とっさに自分の口を両手を押さえ、言葉を紡げなくなる。

モー君は、そんな私を呆気に取られた表情で見て………そして、堪えきれなくなったのか、唐突に吹き出す。

けれど、すぐにまた元の表情に戻って。



「君って、変」







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