第17章 私立リアリン学園!5時間目~ジル~
カタンッ。
小さな音を響かせて。
本棚に手をついたジル教頭に、囲われてしまう―――。
「………!?」
「なにか困った事がありましたら、いつでも力になりますよ?」
「あ………ありがとうございます」
「私には、相談しづらいですか?」
「いえ、そういうわけでは………」
一瞬の沈黙の後―――。
「………クロードには、話すのですよね?」
「えっ、クロード?」
ここでクロードの名前が出てくるとは、まったく思っていなかったので、目をまるくしてしまう。
………ジル教頭は、何を言いたいのだろう。
「なぜ、あの時、貴女を助けたのが私でなかったのか、そればかり悔やんでしまうのです」
「あ、あの時って………?」
そう聞き返しながらも、ジル教頭が何を言おうとしているのかを理解していた。
あの日―――。
初めて私達が、出会った日のことだ。
『ヴァン』で、見知らぬ人に声をかけられて困っていた時。
私は、クロードに助けられたのだった。
あの時、少し離れた場所にいたジル教頭を思い起こす。
「あれが私だったら、マイン先生は、クロードではなく、私に心を開いていたのでしょうか」
「あの、私とクロードは、別に何も………」