第17章 私立リアリン学園!5時間目~ジル~
「マイン先生、貴女に逢って、忘れかけていたものを思い出した気がします」
「忘れかけていた、もの?」
「両親や一族の者達が、教職に就く理由………これからを担う若い世代に、私達の持っている知識を伝えたい、育てたい。そして、より良い社会を築いてほしい、その一心であることに」
まっすぐに、未来を見据えているかのような、強い光をたたえている、ジル教頭の瞳―――。
「それにしても………マイン先生は、私を男として意識していない、そういうことですか?」
「え?」
「さっき、おっしゃいましたよね、部屋を片付けたのは、私ではないか、と。私が女子宿舎に入れるとでも、お思いで?」
そう言ったジル教頭と、心なしか距離が近づいている気がするんだけど………。
顔を上げた時には、もう、すぐそこに、ジル教頭の端正な顔があって―――。
「教頭権限で、出入り禁止な場所なんて存在しないかなって………」
私は、苦しい言い訳をしてみる。
「そういうことだったんですね」
「………そういうことです」