第17章 私立リアリン学園!5時間目~ジル~
「そうだ。ファイル、ありがとうございました。まだ少ししか見てないですけど、いろいろと勉強になります。私も頑張って芽瑠先生に負けない良い先生になろうと思います」
「マイン先生は、何事にも全力ですね。どうして教師になろうと思ったのですか?」
「どうして、ですか?えっと、私、子どもの頃から勉強することによって世界が広がっていく感じがして………。それを、皆にも伝えていきたいなって思って。あ、でも、机の上での勉強だけでなく、いろんなこと―――人への思いやりとか、物の見方とか、そういうのも全部教えていけたらいいなって………なんて、そんな私は、もっと人生経験積まなきゃ、ですけど」
「素晴らしいですね」
「あ、私一人で、なんか語っちゃいましたね」
一気に、まくしたてて。
ハッとしたら、恥ずかしくなってきた。
「夢があって、よろしいですね。羨ましいくらいですよ。私は、マイン先生のような志があったわけではありませんので」
「え、そうなんですか?じゃあ、ジル教頭が教師になったきっかけは、何だったのですか?」
「私の家系は、代々教師でしてね。私が教師になったのも、まあ、慣習みたいなものでしょうか。教師になるのが、あたりまえでしたからね。こうして教職に就いても、敷かれたレールの上を行くように、日々を過ごしているといったとこでしょうか」
淡々とそう語る。
「そんなっ!でもっ、それだけじゃないですよね」
私は、つい、大声で反論してしまう。
ジル教頭と出会ってそれほど経っていないから、何をわかっているんだと思われそうだけど。
それでも―――。
私には、わかる。
この仕事をどんなに誇らしく、どんなに大事に想っているかが―――。