第17章 私立リアリン学園!5時間目~ジル~
その間も、何か話した方がいいのかな、けど、何を話せば、と考え続けて………。
それに、さっきの………ジル教頭が苦手って肯定してしまったのも、弁解したいし。
どうしたらいいんだろう………。
私の頭の中は、そんなことがグルグルとずっと駆け巡っていて―――。
「マイン先生、学園には慣れましたか?」
沈黙にたえかねたのか、気を使ってるのか、そう聞いてくれる。
「あ、はい、ずいぶん慣れてきました」
「どの教科も予習をしっかりしてらっしゃるようですね。教え方も丁寧でわかりやすいと聞いております」
「頑張ってますから!」
私は、意気揚々と答える。
「生活面では、どうです?宿舎の方は、いかがですか?」
「とっても快適です。お部屋は広いし綺麗だし、言うことなしです」
あ、そういえば。
前任の芽瑠先生の物を整理したって言ってたけど。
「もしかして、私の部屋を綺麗にしてくれたのも、ジル教頭ですか?」
初日に宿舎の整えられた部屋に感動したっけ………。
隅々までよく掃除をしてあって、無駄がなく、なおかつ使いやすさを配慮された部屋。
いかにも、ジル教頭らしい―――。
「マイン先生の部屋は、女子生徒達が整えました。男の私は、女子宿舎には入れませんからね」
「………あ、そうでしたか」
宿舎への異性の立ち入りは、禁止だった。
それなのに、どうして私は、あの部屋を片付けたのがジル教頭だなんて思ったのだろう………。