第17章 私立リアリン学園!5時間目~ジル~
「あの、私も手伝います」
「しかし………」
「次は空き時間です。授業がありませんので、お手伝いできます!」
言いきっておいて………はっと気がつく。
手伝うということは、ここで、ジル教頭と二人っきりで過ごすということで―――。
「そうですか。では、お願いします」
「あ、あのっ、ジル教頭は、他にもお仕事があって、お忙しいでしょうから、後は私が片付けるというのはどうでしょうか?」
私は、おずおずと、そう言ってみる。
「何をおっしゃるのですか。マイン先生一人に押しつけるわけには、いきませんよ」
私の方に向き直る。
「それとも、私と一緒では、何か不都合でも?」
「いえっ、不都合なんて、そんなっ………」
じっと見つめられて、慌てふためく。
―――片付けは、手伝いたいよ。
けど、ジル教頭と二人でって………何話していいかわかんないしっ。
ほら、もう手に汗かいてきた!
「私は、マイン先生に好かれていない、といったところでしょうか」
「え?いえ、そういうことでは………っ」
「でも、苦手と思われている………当たりですか?」
「………ええと、その………まあ、そういうこと、かもしれない………で、す」
私は、ごまかしきれずに………。
観念してしまう。
「………っ、正直な方ですね」
そう言って。
こらえきれない様子で、声を上げて笑ったので、私は、驚いてしまった。
うっわ………なんか、いつもと違う。
そう言われてみると。
先ほど、倒れた本棚の向こうから、こちらを見ていた時も、普段の姿からは想像つかないほどに途方に暮れた表情をしていて―――。
なんだか、ジル教頭の意外な一面を見た気がして、ドキドキしてしまう。
「あの、て、手伝いますねっ」
私は、かがんで足元の資料を束ね始める。
しばらく無言のまま、二人並んで片付けを続けていて―――。