第17章 私立リアリン学園!5時間目~ジル~
守衛室でジル教頭のことを話し、そのまま2時間目の授業に向かった。
でも………大丈夫かな。
もしかして、怪我をしていたのかもしれないし………。
今、どうしてるんだろう―――。
本棚を起こして、資料を片付けて………。
それを、ジル教頭が一人でやっているのでは、と思うと落ち着かなかった。
2時間目の授業は、そんなことを考えて頭がいっぱいで、自分でも何をどう教えているのかわからなくなるほどだった。
なので、授業が終わると、私は一目散に進路指導室へと向かっていた。
ガチャリッ!
進路指導室のドアを思いきり開ける。
そこには、驚いた表情でこちらを振り返っているジル教頭がいた。
「マイン先生、どうかしましたか?」
「え、ええと、どうかしましたかって………それは、私が聞きたいことですっ………て、え?」
進路指導室は、何事もなかったかのように静寂を保っていた。
本棚は元どおり立てられていて、資料の大半は、すでに棚に整頓されている。
あ、でも、まだ、足元にいくつかの本が散乱している。
ジル教頭は、優雅な手つきで資料を片付けている。
「本棚、元に戻ったんですか?」
「ええ。ビスが緩んでいたようです。昨日、生徒からこの部屋で軋んだ音がすると言われて、調べていたのです。まさか、本棚が倒れてくるとは想像もしていませんでした」
「怪我とか、してませんか?」
「ええ、大丈夫ですよ」
その横顔を見る。
気づくと、額にじんわりと汗を浮かべている。
この一時間、ずっと一人で片付けていたんだ………。