第17章 私立リアリン学園!5時間目~ジル~
「これを」
抱えていたファイルを、私の机に積み上げる。
「あの、これは?」
「前任の芽瑠先生の私物を整理していましたら、こちらのファイルが出てきたもので、マイン先生にと思いまして」
私は、パラパラと一番上のファイルをめくってみる。
学園内の規則や、校内図、市街の地図等が、まとめられている。
写真やイラストがたくさんあって、なんだか賑やかな感じ。
楽しそうなファイルだなあ。
けど、この調子で、この分厚さ4冊?
不思議に思っていると。
「生徒の個人情報等も記載されているので、芽瑠先生に送り返すわけにもいかず、マイン先生が活用していただけるなら幸いかと」
「個人情報、ですか」
後で、じっくり見てみようっと♪
「前に渡した規約は、退屈で読んでいらっしゃらないようですから」
「………規約?」
私は、小首を傾げる。
そういえば、初日の見回り当番の時、待ち時間に読んでるようにって冊子をもらった気がするけど。
………あれ、どこにいったんだろう?
やばいっ!
「ご心配なく。マイン先生だけでなく、あの規約を真面目に読んでる教師などいませんよ」
慌てた私の様子から察したのか、微笑みを浮かべながら、つけ加える。
――――――。
「ジル教頭、ちょっといいですか?」
職員室入口から、困った顔をした先生が、声を掛けてきた。
「ええ、すぐ行きます………では、頑張ってくださいね、マイン先生。期待しておりますよ。それから、このファイルは厳重保管でお願いしますね」
ジル教頭は、ニッコリと笑顔を向けると、さっさと歩いて行った。