第13章 私立リアリン学園!3時間目~クロード~
「あ!」
「やっと思い出したか」
結衣と待ち合わせた『ヴァン』というお店で、見知らぬ人に声をかけられて困っていた時に助けてくれたハットの彼だ!
『で?俺の奥さんに、なんか用か?』
私のことを後ろから抱きしめて、相手の男の人にそう言ったのだ。
香水の香りと、『奥さん』という言葉に妙にドキドキしたっけ………。
『お前は、入ってくるなよ。悪者からお姫様を助け出したのは、この俺だ。なあ、お姫様?』
そう言って、私に声をかけたジル教頭を遮ったクロード。
「あの時、ジル教頭と一緒だったよね」
「おいおい、俺よりもジルの方が、印象強かったのか」
「や、そういうわけじゃないけど。ジル教頭とは、ここに来る前に『ヴァン』で会ったねって話したから」
「そうか、その時も俺のことは、一切思い浮かびもしなかったわけか?」
「………学園に来る前の話だよ?」
「お前にとって、俺の存在がどういうものか、よくわかったよ」
「えっと、そう言われても」
クロードは、ゆっくりと手を伸ばしてきて、私の頬に触れる。
「あの日以来、お前のことを忘れられずにいたってのに」
「………」
まっすぐに見つめてくるクロードの瞳に、吸い込まれそうだ。
「冗談だ」
と。
そう言って、クロードの手が離れていく―――。
私は、気づかれないように小さくため息をつく。
………び、びっくりした。