第13章 私立リアリン学園!3時間目~クロード~
「被服って、服を作るってことだよね。クロードは、家庭科の専科教師ってこと?」
「そういうことだ。マインの専門は?」
「私は、古典」
「なるほど。そりゃ、芽瑠よりうわ手だな」
芽瑠って………毛矢先生、前任の先生だよね。
「どうして、うわ手?」
「芽瑠は古典が範囲外だったから、苦労していたからな。ちょうど、今のマインのように」
そう言って微分積分の教科書をつまみ上げて、私の目の前でヒラヒラとかざして見せる。
「それじゃ、私、芽瑠先生と一緒じゃん」
「ハハッ、そうだな」
………なんか、適当な人だなぁ。
「それはそうと、マインの歓迎会をしなきゃな」
「え、いや、そんな気使ってくれなくても。他の先生方も忙しいだろうし」
クロードは、教科書を机に置くと、私の顔を覗きこむように見下ろす。
「他の先生?そんなの呼ぶつもりはない。俺と二人きりだ。なあ、今夜、どうだ?」
「………っ?二人きり?それって、歓迎会って言う?」
「ああ、もちろん。俺のすべてで、マインを歓迎してやる」
すべてでって………。
なんか、意味深―――。
はっと気づいた時には、クロードは、さっきよりも顔を近づけてきて―――。
「教師として情熱を燃やすマインも魅力的だが………女性は、潤いが大事だからな。熱心なのはいいが、生徒と恋愛沙汰にだけはなるなよ?面倒だからやめておいた方がいい。それより、大人の恋愛を教えてやろうか?」
耳に触れそうなほどすぐ近くで囁かれて、思わず肩を震わせる。