第11章 私立リアリン学園!2時間目~ノア~
~疑問~
失敗したなあ………。
私は、一人つぶやきながら、本の束を両手で抱え、ヨロヨロと歩いている。
次の授業で使う資料を用意するのを忘れていたので、今、慌てて資料室から取って来たところだ。
一冊はそれほどの厚みはないけど、クラスの人数分となると、結構な重量だ。
ふう、重っ………。
辺りを見回す。
生徒達が、笑い合いながら通り過ぎて行く。
こういう時、王子様がやって来て、私の荷物をヒョイっと持ってくれるんだよね。
………なあんて。
現実は厳しい。
ましてや、私は先生。
皆、見て見ぬふりだもんね。
いいですよー、だ。
これくらい、なんてことないんだからっ。
階段を前にして、休憩。
床に資料を置いて。
ふうっと、ため息。
「あれー、マイン先生、何してるの?」
後ろから声を掛けてきたのは、ノアだった。
「あ、ちょっと休憩」
「休憩?こんな所で?なんで?」
「………資料が重いから、階段昇る前に、ひと息入れようと思って」
「ふーん」
そう言うと。
ノアは、床に置かれた資料を一冊だけ残して、持ち上げる。
「どこまで運べばいいの?」
「えっ」
私は、置かれたままの一冊の資料を持ち、階段を昇りだしたノアの後に続く。
「1年1組の教室まで。ありがとう、ノア」
「どーいたしまして」
私とノアは、並んで歩く。
………なんか、話した方がいいよね。
起きてるノアなんて、滅多にないし。
あ、そうだ!
前から聞きたかったこと。
「あのね、ノア。ノアは、夜は何してるの?」
「夜?なんで?」
「だって、昼間いつも寝てるから」
「それは、眠いから」
「なんで眠いの?それって、夜遅くまでゲームとかしてるからじゃないの?」
私は、肯定の返事が返って来ると思っていた。
けれど。
「んー?夜は普通に寝てるよ?」
「へ?」
それって、なんか変じゃない?
夜は、普通に寝てるって………?
それなのに、昼も眠くて、授業中に寝てるってこと?
どんだけ寝れば、気が済むわけ?