第9章 私立リアリン学園!1時間目~ユーリ~
「芽瑠先生の代理で来たんだよね?」
………める、先生?
あ、前任の毛矢先生のことか。
「芽瑠先生は万能だったから、マイン先生、頑張らないとね」
芽瑠先生って万能だったんだ………。
ご高齢で病弱なイメージ、だったんだけど。
あ、世界一周旅行するくらいだから、アクティブな方なんだよね。
頑張らないとねって、言われても………。
「それ、プレッシャーかけすぎ」
レオの隣りに座っている生徒が、ムスっとした表情で低く呟く。
「アラン、俺はそんなつもりで言ったんじゃないよ?だって、マイン先生なら、もっとすごいコトしてくれそうだし」
「そうかよ」
アランと呼ばれた生徒は、口を挟んだことを後悔しているかのように顔をしかめて、ため息をつく。
「俺、学級委員だから。何かあったら言ってね、どんなことでも解決してあげるから。よろしく、マイン先生」
そう言って、ウインクするレオ。
………どう見ても、このクラスで一番チャラいのがレオなんだけど。
その彼が、学級委員!?
どういう経緯で、レオが学級委員になったんだろう?
それに、この学園では先生のこと名前で呼んでるの?
敬語は不要って言われたけど、生徒も先生に不要なのかなあ………。
私が、軽く頭を痛めていると―――。
「はい、はーい!」
一番前の生徒が、元気にまっすぐ手を上げて、立ち上がる。
「俺、ユーリ=ノルベルト!」
元気だなあ。
そんなユーリに視線を向けると―――。
………!!!
え、嘘っ。
ア、アイドル君!?
そこに立っているのは、見間違うはずもない。
メイドカフェにやって来た、あのアイドル君だった。
どうして、ここにいるの?
………って、ここの生徒だったんだ!!
マズイッ!
いや、マズくない。
や、でも、マズイかも………。
というか、私のこと、覚えてる、かな………。