第1章 皆でお祝い♪ ゼノ様バースデー!
「これは、アル、か」
ゼノ様は、正面の壁を指差す。
あ、そういえばアルバートの横断幕。
結局、どっちに決めたのだろう………。
ゼノ様の指差す方へと目を向けると。
そこには、アルバートが散々悩んだ横断幕が掲げられていた。
「誕生日おめでとうございます、に、ハッピーバースデー、か。力作だな」
ゼノ様のその言葉に、私とユーリは、顔を見合わせてフフフと笑う。
2つ並んだ横断幕は、素晴らしく達筆で、場の雰囲気から多少浮き気味ではあるけれど。
ほんとにアルバートらしくて、微笑ましいくらいだ。
「あれは………天の川か?」
天井から壁に貼りめぐらされた星の飾りが、角度によってキラキラと輝きを放っているのを、目を細めて眺めるゼノ様。
「そうなんです!マイン様と俺が作ったんですよ」
「星も、ゼノ様をお祝いしているかのようですよね」
逢えない夜、星を見上げてゼノ様を想った。
きっと、ゼノ様もこの、同じ星を見ているだろうと思うとそれだけで愛しさが募った。
今は、こうして、すぐ隣りにいて、一緒に眺めている―――。
私は、昨日からの出来事に思いを馳せる。
あっという間ではあったけれど、とても楽しくて、かけがえのない時間だった。
私に負けず劣らずゼノ様を大好きなこの2人と、愛しい人の事を思いながらパーティーの準備をして。
今、こうして皆で過ごしていることが。
この上ない幸せだ。