第5章 私立リアリン学園!序章
そんな時、また、店のドアが大きく開いたので、いたたまれくなった私は、大げさにそちらに目を向ける。
と、本当に、タイミングよく結衣の姿が現れた。
「ごっめ~~ん、遅くなって………っと、やば」
大声でそう言いながら、駆け込んで来た結衣。
店の雰囲気を感じ取って、慌てて口を押さえている。
「連れの登場だな。じゃ、俺達は、これで」
彼ら三人は、カウンター席に戻り、私からあっさり背を向ける。
「………」
そして、もう私にまるで関心がなくなったとでもいうように、三人で話し始めている―――。
結衣が軽く息をはずませて、私の隣りに座る。
「お待たせ!んで?何、何?マイン~、どういうこと?声かけられてたの?」
結衣は声を潜めて、カウンターの三人を見ながら、私を追求する。
「え、あ、そういうわけでは………つうか、結衣、遅いよ!すぐ来るって言ったよね?」
「出る時になって、ちょっと仕事頼まれちゃってさ。一杯おごるから~。で?で?何があった?」
「あのねえ………」
私は、額を押さえて、ため息をつく。
なんだか、この数時間の間にいろんなことがあったような気がする………。
「それより、なんだって、こんなオシャレな店で待ち合わせにしたわけ?もう、落ち着かないったらないよ」
私は、小声で結衣に言う。
「ココ、イケメンオーナーがいるって評判でさ、うち以外でも取材依頼殺到してるみたいだけど、すべてお断り、みたいな。だから、どんなかなって。一度来てみたかったんだよねー。プライベートでお店来る分には問題ないっしょ」
………また、イケメンか。
もう勝手にしてよ―――。