第1章 1
恵梨がビクビクしながら運転し始めて、早くも2時間が経過した。
周りには木がたくさん生えてきたような気がする。
今日の目的地は、とあるところにある公園や。
そろそろ着くな・・・と考えた俺は、真剣な目で前を見つめている恵梨に声をかけた。
「恵梨、そろそろ着くで」
「そうですか、分かりました」
免許を取ってからあまり車に乗っていないとはいえ、ペーパー歴はそんなに長くない恵梨は、すぐに運転の感覚を思い出したようや。
ま、若いっちゅうことも関係しとるかもしれんけどな。
「ん、そこ左な。ウィンカー出して」
「はい」
左折の意思表示をし、スピードを落としてゆっくりと曲がる。
その途端、ガタガタと車体が揺れた。
「きゃあ!!」
「あー、砂利道やったっけ、ここ」
ガタガタと揺れながら、車は前に進む。
恵梨はバランスを取りながら、必死に前を見つめている。
「エンストせんようになー」
「き、気を付けます!」
言葉の割には、しっかりとスピードを調節しながら運転している恵梨。
その顔はやはり真剣や。
───そして、道の先の視界が開けた。