第9章 耀の思いと少女の夢
耀の笑に、マイクと相澤も少し、笑う。
「やっぱり!!耀は元気が一番だぜ!!」
「……あぁ……元気ねぇのは、気持ち悪い…」
「うわ!酷いなあ!消!!」
3人は仲がいいそりゃ、そうだ、同期にして、元同級生なのだから、
夜まで談笑し合った3人は時間を忘れ、話し続けた。
そして、そ
の頃、彼女の寝室では、彼女が目を覚ます。
彼女は夢を見ていた。
あぁ……また……キャパオーバーしたのか……
夢の中の私は、実に小さい姿で、父も母の顔もあるから、今日は、5歳の時の夢だ。
彼女の夢はそう、彼女にとって、悲しい記憶をループする。
まるで、世界を歪めてもしまえる彼女をもう現実に返したくないような……そんな酷い夢だ。
「リラ!!今日は一緒にデパートへ行こう!!!!」
「何で?ママわあ?リラだけ?」
「ママはお仕事だからな!
それに…今日は俺のデパートでイベントがやるんだぜ!リラちゃんは!パパのかっこいいとこ見せてやるぞお!」
そんな幸せの時間なんて、一瞬で、消えちゃうんだ……
「逃げろ……後は、頼んだ……〝 〟」
誰に父が私を頼んだのか、彼女には分からない……
もうあの時の事なんて薄れている。
待って!!……待ってよ!!私をおいていかないで‼‼
手を伸ばしても届かない、
そうして、彼女は涙を流し目覚めた。
彼女は天井に伸ばした手を胸に当て、
窓を見る。
また………夢で助けられなかったな………
ガチャり、すると、部屋に耀が入って来て、彼女を思いっきり抱きしめる。
その後には、相澤とマイクが見えるが、今はほっておくとして……
彼女は目を見開く。耀の身体はひどく震えていたからだ。
「おかえり…リラ………」
「……ただま……」
夢から帰ってきた彼女に耀は存在を確かめるように、強く抱きしめ続けた。
苦しすぎて、彼女が相澤とマイクに助けを求めるのは、ここから、数分後の事……
「マイクさん……相澤さん……たッ…た助けて、」
離されれば、相澤とマイクが彼女へ話しかける。
「全く無茶するなあ!!リラちゃん!!次は気おつけるんだぜ!!」
「……気おつけろよ…リラ………心配する奴もちゃんと……いるんだからな……」
頭を撫でられ、無表情だが、照れる彼女は今かなりの幸せだ。