第9章 耀の思いと少女の夢
私は………やっぱり……ヒーローはまだ、好きにはなれない。父を助けてくれるヒーローもいなかったし、その後も助けは来なかった。……
けど…………今だけは、私は……ヒーローの方が好きだ………
彼女が幸せを感じる中、街の闇では、密かに、ある計画が進められていたのを……彼等ヒーローは知りもしなかった。
闇……夜、暗い繁華街の中、あるバーでは、それは、本物か、身体中に手を付けた男が、新聞を広げ楽しげに笑う。
「おい……見たかこれ!!教師だってさ!」
新聞にはオールマイトの記事が書かれており、男は、グラスを彼の写真に押し付ける。
「なぁ……どうなると思う?平和の象徴が…見たが……ヴィランに殺されたら……」
そう笑う男は次に、ある写真を取り出した。
楽しげに、愛おしげに、男はその写真に唇をつける。
「あぁ……やっと……お前に会えるんだね…………〝リラ〟……」
狂気的な雰囲気の彼が見る写真は、眩しい程に笑う少女の姿で……
「お前は……ヒーローじゃないよ……お前はヴィラン側に来た方が幸せなんだぁ……待ってて……今……俺が……迎えに来るから……」
オールマイトが教師をやったからか、それとも…リラ…がヒーローを目指したからか……
ここが、本当の始まりだった…真に賢しいヴィランとの戦いは……魔の手は……
もうそこまで……来ていた。
手の男の正体は……?