第8章 爆豪のスタートライン
6スタートライン②
遺された二人は、話の続きを始めた。
「私のこの姿の件は、雄英の教師や一部のヒーローには周知の事実、だが、私の個性……
ワンホーオールの事を知っているのは、あなたと耀君、そして…校長とそして親しき友人…後は緑谷少年だけなのです…」
彼の力はそれだけ、秘密にしなければならない……大事な事実……
これが、無個性だった緑谷出久を変えた力なのだ……
絶対的秘密……
リカバリーガールは彼の必死な顔に呆れながら、パソコンを眺めた。
「そんなに……大事かね…ナチュラルボーンヒーロー……平和の象徴ってのは……」
「居なくなれば、この超人社会は悪にかどわかされます。これは……この力を持ったものの責任なのです!!」
重く真剣な眼差しにリカバリーガールは笑う
「なら……尚更、導く力を学びんしゃい!!」
「はい……」
二人が話を終え、オールマイトが去っていった保健室で、緑谷が目を覚ました。
覚醒したぼやけた視線で、時計と点滴を確認する。
「……夕方?」
「起きたかい?」
その声に驚く緑谷。
「うわぁ!?」
声を上げると、
緑谷はリカバリーガールに腕のサポーターを付けてもらい、
とりあえず、明日治療することになり、
保健室を後にした。
教室へ向かう途中、
緑谷は大きなため息を吐く。
午後の授業……すっぽかしちゃった……
相澤先生にきっと縛り上げられる。
怖かった昨日の担任の顔を思い出し、息を飲んだ。
そして、教室へ行くと、彼を凝視する他のクラスメイト達、
ザワつくみんなに、肩が跳ねた。