第8章 爆豪のスタートライン
5虚言少女④
「どうやら……ほんとにやばそうだな……なら……」
なら…早く終わらしてやろう
というのが、轟の考えだ。
氷側の手を轟が前にかざし
そして、個性で…彼女を氷漬けにしようとする。
だが…それは、叶わない……何故なら、
彼が彼女に触れそうな瞬間
……彼女は天井で静かに指を鳴らした。
「…“teleportation…”……(瞬間移動……)」
その言葉は見事に体現され、彼女は核のうえの方へ飛び乗った。
「な!?」
確保テープを巻き付け、彼女は轟に言った。
「ごめん……君はきっと、私を思いやってくれたッ……みたいだけど……言ったでしょ?
負けるの嫌いだっ……」
彼女の身体は核から離れ倒れていく。
轟は咄嗟に落ちてくる彼女の身体を受け止めた。
彼女は眠っており、しかも、まるで、死んでいるかのように動かない……
こいつ……身体が冷たい……本当に、大丈夫なのか?
顔が青白く、今にも死んでしまいそうな彼女
柄にもなく少し心配をしてしまう…
「終了!!!!!」
終了……オールマイトがそう言うと、
彼が急いで、轟達の元へやって来る。
その顔は依然と笑顔だが、何処か、焦りも垣間見えた。
「大丈夫か虚言少女?」
すると、一瞬だけ、彼女は目を明け、轟とオールマイトをその瞳に映す。
「あ……ありがとう……轟焦凍……オールマイト先生………相澤先生に午後は無理そうって……言って貰えるかな……」
「あぁ……言っておくよ……だから……安心して寝なさい……」
だけど、彼女は手を震わし、オールマイトの服を掴む。
「安心……して……寝れる?……本当に?…誰も消えない……一人にならない?」
轟は何処か幼く言う彼女に驚く。
まるで、お化けを怖がるがるかのようで、…
オールマイトはそんな彼女の頭を撫でる。
「大丈夫……大丈夫だぞ!!虚言少女……皆いる……大丈夫だから……眠っていい……」
そうして、彼女は目を閉じた。