第8章 爆豪のスタートライン
4、他者の実力②
一方……評価を受けていた者達は、彼女の言葉に納得しているような顔をしていた。
麗日はしょんぼりして…
爆豪は下を向き
飯田は感激している。
そんな好評の中……
リラは一人、先ほどのネズミを肩に乗せ触っている。
「ネズミさん…次は誰が訓練かな?」
そんな彼女の元へ、
試験を終えた麗日が落ち込んだ顔をして歩いてきた。
「リラちゃん……やっぱり……ヒーローになんのは難しいね……」
そう眉を下げ笑う彼女にリラはネズミから視線を外し麗日を見る。
「何言ってるのさ……そんな簡単じゃ……誰もがヒーローになれるよ……それに……皆、ヒーロー志望だけど……誰もが完璧じゃないんだからさ……」
彼女の言葉に麗日は胸が少し軽くなった。
訓練の結果は勝ち……でも……ヒーローらしさといえば欠けていたのだ。
でも…彼女の言葉に麗日はまた笑顔になる。
そうだよね!まだ最初だもんね……
「うん!!私頑張るよ!!一緒に頑張ろう!!
それよりデク君……腕大丈夫かな?……」
「大丈夫だよ……傷は治したから大丈夫だよ……」
彼女の心配にリラはそう言うと彼女の肩にネズミを肩に乗せた……
……驚き慌てる麗日
「うわぁ!!なんやこのネズミ!!」
「振り払わないで上げて……その子……最後に君を治したいみたいなんだ。」
「え?」
最後という言葉に疑問が残る麗日だったが、彼女の何処か切なげな雰囲気に動きを止める。
「個性使って体力消耗してるだろうからだってさ……」
ネズミは緑谷の時のように麗日には噛みつかず、人鳴きするだけだった。
その瞬間……
ネズミは彼女の傷と共に綺麗に消えていく。
そして……彼女は一人小さく呟いた。
「ありがとう……そして……ごめんね…」