第7章 少女と緑谷
電車に乗り、それぞれの駅で降りると、自然と緑谷と二人きりになった。
「あ……あの!!虚言さん!……きっ……聞きたいことがあるんだけど良いかな……」
そこで、緑谷は今日感じた疑問について彼女に問いただそうとした。
彼女は何となく彼が聞きたいことがわかると短く彼に応える
「いいよ………じゃあ……少し歩こうよ……」
その誘いに緑谷も承諾すると、二人は一緒に駅を降りた。
少し、歩き……緑谷は彼女に聞きたいことを思いっきり口にだす。
「ねぇ……虚言さん…君は何でも出来る個性って言ったよね?……」
「そうだね……」
「でも…相澤先生もリカバリーガールも言ってたんだ……
君の個性は僕の怪我は今の君には……治せても痛みは治せないって……それって……
…もしかして……君も個性を上手く使えないのかなあって……思って……それで……だから……体力テストやらなかったのかなって……思ったんだけど………」
すると、彼の質問に彼女は彼の頬に手を添える。
固まる緑谷……
「……緑谷君……そんなに……知りたいなら………誰にも言わないって……約束してくれる?」
「え?……」
「私の個性は……この世界には、強すぎるの……だから……秘密にしてるんだ……知ってるのも……ごく1部……ねぇ……私も応えるけど………君も応えてよ……君のあの個性は……………オールマイトのものだよね……」
そう彼女は無表情ではなく、悲しげだった…
何故、彼女が悲しげなのか、緑谷にはわからない………
でも…緑谷は彼女に自分の秘密を話すことはできなかった。
そう緑谷出久は中学まで……無個性だった…
何も無い。普通のヒーローに憧れる少年だ。
しかし……オールマイトと出会い、彼は力の譲渡を受けた。
そして、その力は極力他言無用………
絶対に言えないこと………
だから……
「ごめん……僕の事は言えないよ……」
そう彼女に緑谷は謝った。
謝られた彼女は緑谷から離れると、
「感情を今一度……“Gefühl(ゲフュール)”」
そこには無表情の彼女はいなく
綺麗な笑顔を向ける別人とも思えてしまう彼女がいた。