第5章 オールマイトと耀
そして…残されたオールマイトと根津は
お茶を静かに飲み干す。
「そうか……確かに……あの子は……いつも……私に笑ってくれたな……」
「そうだね……あの子はきっと……覚えていないだろうけど、あの子の父は……沢山のヒーローや人に愛されていた…
…そして……あの子もまた……沢山の人に愛されていた子だからね……だから……僕達は恰好良くいたいんだ……もう一度……あの言葉が聞きたいよ……」
これは、昔の話……まだ……彼女の父、
真言 椿樹(シンゲン・ツバキ)
は現No.2ヒーローエンデヴァーと同等の人気を誇っていた伝説のヒーロー
名を……ヴィーゲン・リート
現……ヒーローは彼から学んだ者もいるはずである。
「オールマイト!!よう!!聞いてくれよ!!!俺の娘が2歳になってだな!!お前に会いたいって言ってんだわ!!会ってくれねぇ?」
「は?……」
そう……それが、彼女とオールマイトの出会いだった。
「やぁ!!私がオールマイトだ!!君が
ヴィーゲンの娘かな?」
そして…少女は彼へ笑う……今は、見れなくなった……綺麗な笑顔で、
「うわぁ!!本物だ!!オールマイト!!」
「お?平和の象徴をいきなり呼び捨てたあ……いつか、大物になりそうだな!!」
「……えへへ!!だって……オールマイトは……強くて…優しい…かっこいいヒーローだもん!!……あ!パパ!!私!!大きくなったら!!!!オールマイトのお嫁さんになるね!!」
「なっ!?…何、俊典!!俺の娘たぶらかしてんだあ!!」
「俊典?オールマイトじゃあ無いの?」
「あぁ!!オールマイトさ!!私の本名はね八木俊典と言うんだ!!宜しくね!!」
「うん!!よろしく!!俊典!!」
そして…その三年後、彼女の父はいなくなってしまった。
だが……もう一度……あの笑顔を見たいと思うのは……椿樹……私のワガママだろうか……
オールマイトは記憶の中の少女と今の少女の姿を思うと、校長室を後にした。