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懲りない誕生日

第2章 本末転倒







「・・・・という訳なんだ、ハンジっ!!」


両手で顔を覆い哀しみに暮れているエルヴィンに、
ハンジは何と返せば良いのかわからず言葉が出てこない。

まぁ、確かにエルヴィンからしてみたら本末転倒というか、
何というか・・・

誕生日くらい好きな相手と一緒に過ごしたいという人間の
気持ちは理解できるので、ハンジは「何か、ごめんね?」と
謝る事しか出来なかった。


「でもさ、ナナシが倒れちゃったら大変だし、
明日一緒にお酒飲めば?」

「わかっている。ナナシは今死んだように眠っているから、
浮気とかでは無さそうだし、明日でも私は・・・」

「って、ちょっと待って!何でエルヴィンがそんな事知ってんの!?
まさか、ナナシの部屋に・・・」

「ん?恋人の心配をして部屋を訪ねるのは当然だろう?
安心しなさい。睡眠妨害しないように合鍵で入って、
その寝顔を堪能しただけだから」


さも当然のようにドヤ顔で言ったエルヴィンに、
ハンジはドン引きしながら非難する。


「安心なんか出来る訳無いだろうっ!?何それ!?
貴方、何度寝込み襲いに行って返り討ちにあったか覚えてないの!?
合鍵使って無断で部屋に入ってくるなって、
この前も怒られてたよね!?っていうか、
この前それで怒ったナナシが部屋の鍵変えてたよね!?
何で貴方が合鍵なんて持ってるのさっ!?」


机を叩きながら興奮気味に責めたハンジに対し、
エルヴィンはキリッとした団長の顔でそれに反論した。


「ハンジ、誤解だ。今日は襲いに行ったのではなく
体調を心配し様子を見に行っただけだ。手は出していない」

「へぇ~?本っ当にナナシに触れもしなかったの?」

「・・・いや、髪を撫でたり、頬やお尻に触ったり、
キスしたりはしたが・・・」

「思いっきりそれ寝込み襲ってるって事だよっ!
この馬鹿ヴィンっ!!」

「だが、ナナシは熟睡して全く起きなかった。
だから、何の問題も無い」

「大有りだわ!この変態っ!!」


気づかれなかったからセーフ!という思考を持っている
エルヴィンが理解出来ず、ハンジは胸倉を掴んでその巨体を揺さぶった。



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