第5章 激怒!
その出来事の後もナナシからの徹底的な無視が続いて一週間・・・
食事も喉を通らなくなったエルヴィンは栄養失調で
再度入院してしまった。
一人寂しく点滴を打ちながら入院生活を送っていると、
ナナシが現れ久々に話しかけられた。
「・・・少しは反省したか?」
「あぁ、本当にすまない。自分勝手過ぎた。
もうしないから無視はしないでくれ。殴られた方がずっとマシだ」
「そうか、では合鍵を返せ。もう二度と勝手に部屋に入って
物を盗るな。寝込み襲うな。セクハラするな。私が嫌がる事はするな」
「わかった・・・君の言う通りにするから、見捨てないでくれ」
抱きつきながらワンワン子供のように泣くエルヴィンの首に
マフラーを巻き付けると、ナナシは子供をあやすように言った。
「これを燃やされたくなければ、約束は守れよ。
あと、食事はきちんと摂れ」
どうやら、この一週間でナナシが新たに編んでくれたもののようで、
エルヴィンは感動のあまり号泣した。
「すまない!慈悲深い君に甘えすぎた俺を許してくれ!」
―――その後、ナナシに滾々と説教されると
一ヶ月間はエルヴィンの奇行は鳴りを潜め、
その様子を見ていた幹部連中はエルヴィンが変な事を
しでかしたらナナシに言いつけようと心に決めた。