第2章 メロキフィストという少女
美女の足が、一際豪華で煌びやかな店の前で止まる。
店の扉が開く。
外装と同じように豪華で煌びやかな内装、受付嬢が顔を上げる。
美女を一目見て、納得したとばかりに口を開く。
「ああ、面接を受けにいらした方ですか。では…」
バシッ
受付嬢の上司と思わしき人物が、その受付嬢の頭を叩く。
「申し訳ありません。彼女は新人である故…、今回はお許しください。このような無礼は今後一切ないように尽力いたしますので…。」
美女の不機嫌そうに歪んだ顔がふわりと溶け、口元に美しい微笑を讃え言う。
「いいわ、気にしてない。」
淡々と答える彼女の目が笑っていないことに誰も気づかない。
___彼女を直視できないから。