第2章 メロキフィストという少女
地獄には、現世でいうところの
24時間眠らない街
"ロサンゼルス"のような場所がある。
天上界の治安に比べれば、少しばかり劣るが地獄は今日も大変賑わっている。
地獄のロサンゼルスはいつも人でごった返している。今日はいつにも増して人が多い。
だが今日は暗い空気が充満している。
甘ったるい香りは鼻腔を通り、直接脳に響くようだ。
露出度の高い格好の女や、鼻の下を伸ばした男どもが街を歩く。
もちろん、水商売をやっているのは女だけではないが。
種族のサラダボウルと形容されているだけあり、色んな種族がいる。一目だけでは皆、人間に見えてしまうような容姿だ。
その中で、明らかに周りに溶け込めていない悪魔が1人。
目立ちたくないのか道の端を歩く美女。
しかしその努力は虚しく、目立ちまくっている。
なぜなら、彼女の容姿は
左右非対称の悪魔の角に、漆黒の黒い髪、透き通るような白い肌、アメジストのような紫色の瞳___
___何をとっても美しいからだ。
「(また、水商売の勧誘を受けた。
3回目だ、今日も阿呆ばかりだ。
私は中学生で、淫魔の血とかひいてねぇ!)」
美女はご機嫌悪く人波を行く。
彼女がご機嫌斜めになってからは、勧誘の声が掛かってこない。
「(下等な生物どもが…)」
美女は心の中で毒吐いた。
悪魔も天上人も、ほとんど人間と変わりがなくても、本能で感じるものがあった。
弱者の本能が、彼女には敵わないと無意識下に思うほどに彼女の存在は大きいのだ。、
美女は肩をいからせながら歩き去って行った。