第3章 夢見たこと
ゼヴィウスは、本を読み始めた。黄ばんだページをめくる少しばかりの音だけがする。
地獄の地形についての章には、大まかな地理、太古からの伝説的な場所のこと、などが記されていた。
ゼヴィウスが求めていると思わしきことは" 伝説と呼ばれる湖がある" と記されていた。
『出逢いの湖
素晴らしい透明度を誇るとされている。
伝説とされているが、諸説ある。』
とても少ない情報に落胆の色が隠せないゼヴィウスは、本と自分の目を閉じた。
……俺とあの子が出逢うためだけにあるようなものだと思ってしまう。
あの湖水の透明度は、彼女の清純っぷりを表しているのだろう。
あの湖が伝説と言われていることに落胆していても、失望していても、妄想は止まらない。
「おい、ゼヴィウス?…何1人で笑ってんだよ。」
エリエルが、1人で顔を綻ばせるゼヴィウスを心配して声をかけた。