第3章 夢見たこと
【コノ書見ルモノ純血ヲ示スベシ。示セヌ愚カ者ノ手ノ内二収マレバ消エマショウ。】
「(目次までしか見られねぇのか…!?)」
ゼヴィウスは、純血を示せる自信がない。唯一無二の書物を犠牲にできる勇気もない。ゼヴィウスは諦めるしかなかった。ものの見事に期待は打ち砕かれ、項垂れるしかないゼヴィウス。頼みの綱は義父であるミカエルだけだ。もう、藁にも縋る思いなのだ。
「(義父様は見せてくれるだろうか?小さい頃からの言いつけは覆るか……?)」
自問していても、ミカエルには聞いてみなければわからない。本を元の場所に戻し、証拠を隠滅してしまおうと本を閉じようとした時、うっかりと紙で手を切ってしまった。こんな時に限って、血が滲む程度に切れてしまったらしい。紙に血が染み込んで行く。薄汚く黄ばんだページに鮮やかな赤が咲く。その赤はたちまち紙に吸い込まれる。
「…あぁあぁぁああ……。」
ゼヴィウスは絶望感に包まれるのを感じた。遺伝についてはよく分からないが、周りを見ていればわかる。同じ血を持つ神は1度に2人といないのだ。ならば自分は何なのだ、とまたしても自問してしまいそうになるのを自制し、血が吸い込まれた場所を凝視する。