第3章 夢見たこと
ふと、義父の書斎にはたくさんの本が置いてあることを思い出した。あそこならば、あの夢で見た場所がわかるかもしれないとゼヴィウスは、少しばかり大きな期待を胸に抱く。抱いた期待はどんどん膨れ上がり、それは勝手に期待を確信に変えてしまう。
ゼヴィウスはベッドから腰を上げ、義父の書斎に向かった。
この時、ゼヴィウスは先ほど交わした約束を忘れており、後日ガールちゃんに罵詈雑言を吐かれるのであった。
廊下を早足で歩くゼヴィウスは、屋敷の使用人と挨拶を交わしながら考えた。
「(お義父様は書斎にいるのか?それは困る…。書斎の本には触るなと言いつけられているからな…。)」
ゼヴィウスは幼い時からそう言われ続けていた。理由は単純に、屋敷の書庫に置いておくには、危険からだ。世界に2つとない本も置いてあることだろう。
ゼヴィウスはよく知っている天使とすれ違った。はっと振り返り声をかけると、その天使はびくりとして振り向いた。