第3章 夢見たこと
ゼヴィウスは、この少女に会うために、毎月のお小遣いの4分の1 を叩いて睡眠薬を購入しているのだ。
眠気の闇に飲まれてから暫くして、見たことのない景色に飛ばされた。だが、ゼヴィウスは直感的にここが地獄だと思った。
そこには、湖がある。その湖の水は透明度が高く、底まではっきりと見える。湖畔には、木々が生い茂り、爽やかな香りの白い花を咲かせている。
はっとしたゼヴィウスは辺りを見回して、かの少女を探した。すると、探していた少女は、白いシンプルなワンピースを着用したまま、水浴びをしていた。ゼヴィウスは彼女の近くまで走って向かった。
「やあ、また会えたね。」
息が切れているのを隠しながら、精一杯朗らかに挨拶をする。少女はゼヴィウスに応えた。
「私は会いたいと思ってないけど?」
少し辛辣な少女の言葉に、傷つくどころかむしろ、ゼヴィウスの心は小躍りしてしまう。
「君の顔は相変わらずわかんねぇんだけど…。」
顔もわかれば、という欲が出てきてしまい、思わず少女に言う。
「私の顔を見ちゃダメってことじゃん!」
少女は悪戯心たっぷりにハハッと声を上げて笑った。
ゼヴィウスはそんな姿を見て、楽しみに待つことにした。
「きっと綺麗なんだろうな、楽しみにしとくさ。」
ゼヴィウスが言うと、
「"綺麗"だなんて、言われ飽きたんだよね。やめてもらえる…?」
少女の声は、明らかに不機嫌になった。その声音に、ゼヴィウスは身じろぎ、恐る恐る言葉を紡いだ。
「…すまない。でも、本当に綺麗らしい。
俺は、もっと君のことが知りたいよ…。」
最後の方の言葉は、今にも消えてしまいそうで、少女に聞こえたか定かではない。