第1章 1
「で、なんやけど、ウチで夕飯食ってから、めちゃくちゃ眺めが良い穴場へ見に行かん?」
「お夕飯を?え、そんなの悪いですよ!」
唯が慌てて首を横に振って言う。
俺はテーブルに置かれた茶の入ったコップを取り、唯の手からストローを抜き取った。
「別に、フランス料理のフルコースをおごるとは言っとらんやろ。大したもんを出すわけやないし、気にせんほうがええって。───ウチにはそんな高価なもんなんか無いしな」
フッと鼻で笑ってみせると、唯はしばらく考えてから、にっこりと笑った。
「それじゃあ・・・・・・お邪魔しても良いですか?」