第1章 1
「今夜、いて座流星群が見えるんやって」
「え?」
ニューシングルの初回特典につけるDVDの撮影中、休憩の準備をしていた唯に、俺はそれとなく話しかけてみた。
案の定唯は、注いでいた茶のボトルとコップを手にしたまま、俺に不思議そうな目を向けた。
今回のDVDは結構お遊び仕様なもんやから、服はビラビラ、メイクはゴテゴテ・・・というよりむしろ特殊メイクでガッチリ、っつー感じで、普通のコップじゃ茶もろくに飲めん。
メイクが崩れたり、縁にぶつかるんや。
「いて座流星群ですか!?」
目を輝かせて、唯が声を上げる。
その手にはメイク対策のストローも数本。
あーあー、そんなに握り締めんなや・・・。