第13章 リブウィズミー
クラスメイトが部屋を見て回ると言うので
後ろをついていくが、案の定爆豪はその場に居なかった
轟の部屋の番になり、ドアを開けると
「和室!!!」
クラスメイトが叫んだ。
『あれぇ?みんなどうしたの?』
俺の部屋着を畳みながら寧々が顔を上げる。
甲斐甲斐しいその姿はまさに
「良妻やないかい!」と麗日が皆の心を代弁した。
「なんだ、この悔しさ」
「皆まで言うな、皆まで」
肩を抱き合う峰田と上鳴の横を抜け、
「もう少しかかる、待っててくれ」
と、轟は寧々に声をかける。
『あ、うん
全然大丈夫!』
「えー寧々ちゃんも一緒に回ろうよ!」
芦戸が言うが寧々は首を横に振った。
「ううん、私まだ片付けたいから…
誘ってくれてありがとう!みんなのお部屋また行かせてね」
「そっか…
うん、また女子会しよ!」
寧々に見送られ部屋を出ると、全員が口裏でも合わせたかのように轟に向き直った。
「で、詳しく説明してくれるのかな?」
「そうだぜ、寧々ちゃんと爆豪の事は、どうなってんだ?」
切島も間合いを詰めて聞いてくる
「俺は…寧々と婚約した」
「!」
「卑怯だとは思っている
だが、俺もずっと寧々の事が好きだった
寧々が今は俺の事を好きだと言ってくれるなら
俺は、寧々と一緒に居たい」
「轟くん…」
緑谷は、轟の素直な自白を受けてフォローしようとしたが、言葉は出てこず、ただ名前を呼ぶだけの形となった。
「寧々の記憶喪失を利用して
いけるところまで、俺のものにしようとしている
寧々も何も知らずに付いてきてくれている
これは俺だけが責められる問題だ」
「でも…さ
轟くんも、寧々ちゃんの事好きで
寧々ちゃんも轟君が好きなら
私たちが何か言えるものでも、ないって言うか…
見守ることしか出来ないっていうか…
爆豪くんも含めて、3人にしか何か言う資格ないのかもって」
「そうですわね、私たちがどうこう言える内容ではないですわ」
「そうだな」
「ま、どっちかを応援とかはできねーけど
良いようになるといいな」
「…ありがとう…」
もっと非難を受けると思っていた…
少しだけ胸が軽くなった気がした
ほんの少しだけ