第13章 リブウィズミー
『ごめんね、ママ強引で』
「いや、それはいいんだが
まさか城に住んでいるとは思わなかった」
10人横並びでも歩けるほどの広い廊下を歩きながら轟は言う
飾られている家具はロココ調に統一されている
丘の上に建つ寧々の家は、フランスの古城と言った雰囲気だった
『親の趣味でね
私の部屋は割と普通だよ』
寧々の言う通り、案内された寧々の部屋は普通に女の子らしい可愛い部屋だった
「寧々の許可を取らずに、婚約して悪かった」
『驚いたけど…
でも、嬉しかったから』
頬を染める寧々
純粋に喜ぶ姿に胸が痛む
「笑われるかも知れないが
家庭を持つのが夢だったんだ」
「けれど、家庭がアレな俺からしたら
理想の家族イメージが湧かなかった
でも、寧々となら
はっきりと思い浮かぶ」
そう、はっきりと思い浮かぶのだ
家に帰った時、出迎えてくれる寧々の笑顔
ありきたりで、俺には縁のなかった、ごく平凡な家庭
そして寧々によく似たかわいい子供の姿まで
優しい情景が俺の心を包む
寧々を見ると、ぼーっと下を向いている
「寧々…?」
声をかけると、ハッとした表情でこちらを見た
「大丈夫か?」
『あ、ごめん!
ちょっと今日色々ありすぎて疲れたのかも
うん、そうだ、疲れてるんだよね!』
慌てたように言う寧々
食事と風呂の後、用意してもらった部屋着に着替え
寧々のベッドで2人で眠りについた
大きなキングサイズのベッドだったが、
ぴったりと寧々を抱きしめるように眠った
抱きしめているのに、やはり遠く感じた
昨日よりさらに
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〜寧々side〜
焦凍の腕の中に収まるように横になる
目を閉じるけど、寝れない…
さっきのビジョンが脳裏から消えてくれない
さっき、焦凍が私との未来像がみえるっていってくれて
私も考えてみたの
愛しい人の帰りを、ご飯を作りながら待つ私と
可愛い男の子
けれど、帰ってきた私の旦那さんは
焦凍ではなくて
爆豪くんだった