第12章 リメンバーミー
満足そうに寧々の顔を凝視する親父
「それを言いに来ただけだ、帰る」
『え?帰るの?
お義父さま、訓練中に失礼致しました』
ぺこりと親父に頭を下げる寧々
『お義父さま』と呼ばれ親父も満更ではなさそうな顔をしていた
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~寧々side~
玄関を出ようとすると
「…!」
相澤先生がチャイムを鳴らそうとしていた
「轟…と、口付?」
『相澤先生、どうしてこちらに?』
相澤先生と、焦凍と私は客室に案内された
『私居てもいいの?』
小声で焦凍に尋ねる
大丈夫だ、と笑いかけられ、それ以上何も言えなくなる
お義父さま、もといエンデヴァーさんも客室に入ってくる
相澤先生が来た理由は、つまり雄英高校が全寮制の学校になるにあたり、
保護者の許可を取りに来たということだった
エンデヴァーさんは「特に問題は無い」とだけ答えた
「して、うちの焦凍だが」
さらに続けてエンデヴァーさんが言う
「婚約者と一緒に住ませるが、問題はないか?」
『ぶっふぁ!』
飲んでいたお茶を盛大に吐いてしまう
何を言ってるんだこの人は
「婚約者…と言いますと?」
相澤先生は私と焦凍を見ながら聞く
「この2人は婚約中でな、今が大切な時期だ
一緒に住まわせようと思っていたところに、全寮制の話が来たのだからそのまま同じ部屋にしてしまえばいい」
「親父…」
焦凍が口を開く、よし、何考えてるんだーって言ってくれるんだね
「今、はじめてお前に感謝したぞ」
ダメだった…っていうかエンデヴァーさんってこういうキャラだったの?親バカ系なの?孫とか手放しに可愛がるタイプ?
「こちらとしては、両者が問題なければ許可は出せると思いますが…」
相澤先生が私のことをまっすぐ見る
何か言いたげな顔だ
『?』
「なにか?」
「いえ、ではそのように手続きいたします
かなり手狭ですから、一応口付用の部屋も1-Cの寮内に設置しますので」
では、と言って相澤先生は帰っていった
エンデヴァーさんの手前、何も言えなかったけど
私の親にも許可とってないし…困ったな