第1章 ドントタッチミー
あの混乱から何日か、
あと紅白髪の男の子を普通科で探してみたが、
どうやら周りに知ってる人はいないようだった。
『ヒーロー科なのかなぁ、
それか、学年が上とかかなぁ?』
ぽつりと呟くと、さきちゃんが
「え?なに?寧々好きな人できたの?」
と、身を乗り出して聞いてくる
『え!?え!?なんで?!』
驚いて声がひっくり返り
首を捻ると
「だってさー!うっとりした顔してるんだもん〜」
と頬をつままれた。
『してないよぉ…』
恥ずかしくなって顔を逸らす
(ん?
心操くん、なんでガン見してくるんだ?
そんなに目を開いてるの初めて見るぞ…
まぁいいや…)
『こないだの混乱の時、
助けてくれた人にちゃんとお礼言いたいのに
見つからないから学年ちがうのかなって思っただけだよ』
「ふーーーーーーん」
意味ありげに、さきちゃんがニヤニヤして言葉を伸ばした
心操くんは、更に目を見開いてるし
なんなんだ、一体
その時
バタバタと大きな音がして
突然先生達が青ざめた顔で廊下を走っていくのがみえる
「え?何事?」
「なんかあったの?」
「なんか、ヴィランが学内に現れて
ヒーロー科の1年が戦ってて、やばいらしい!」
ザワつくクラスメイト
『ヒーロー科…1年』
私は一気に血が抜けていくような感覚に襲われた…
『お兄ちゃん…!』
そう呟いた時にはもう、体は弾かれたように走り出していた
先生達を追いかけると、
ヴィランの出現場所を口にしているのが聞こえる
遠い…けど、走れば行けない距離じゃないよね!
(お兄ちゃん、無事でいて…)
そう願いながらただただ全力で走った