第10章 エクスキューズミー
~轟side~
『うらめしやー!』
精一杯の演技で木の陰から出てきた寧々
白いワンピースからは白くて細い足がスラリとのび、
ワンピースの形が綺麗な体のラインをみせている
一瞬驚くが寧々が出てきたことに対しての驚きだ。
爆豪に関しては「なにしてんだ」と冷たい。
寧々は悔しそうにもっと驚いてよ!と言うが無理だ
どう見ても天使だから
その時異臭と共に、寧々が俺の胸に倒れ込んできた
「これ…毒ガスだ!」
爆豪が叫ぶ
「ヴィランが来たのか?!」
すぐさま寧々を担いで、充満するガスと逆方向に走る
「おい、テメェ!寧々は俺がおぶる
貸せ!」
「爆豪は両手空いてないと戦えないだろ
今は俺に担がせろ」
「あ゛?テメェが寧々に触ってんのが嫌なんだよ、舐めプ野郎」
「今は、嫉妬より寧々を守ることが第一だ
理解しろ」
そう諭すと
「チッ」と、分かったのか、盛大に舌打ちをして交戦体制に戻った
少し走ると、その先には脱獄中のヴィラン、ムーンフィッシュ
全身黒の拘束着のようなものを着ていて口しか見えない
気味の悪い姿でこちらに襲いかかってくる
俺は背中で眠る寧々を庇いながら逃げる
周りが木で囲まれているため
山火事を恐れ、火で攻撃ができない
マンダレイから
このヴィラン達の狙いは爆豪だと、伝達が脳に直接入った
「あんまり暴れんなよ、お前狙われてるらしいぞ」
「かっちゃかっちゃうるせぇんだよ!頭ん中でえ」
半ギレの爆豪がヴィランに攻撃を仕掛けるが
相手の方が、場数を踏んでる分上手
ガスとヴィランに挟まれ、わかりやすく囲まれてしまう
突破口はただ一つ、目の前の敵を倒すことのみ
相手のヴィランは自身の歯を刃物に変えどこまでも伸ばし
襲ってくる
その刃物を氷で防ぎ続け、打開策を練るが
爆豪の最大威力の爆発でも、俺の炎でも森が焼け、脱出できなくなる
「クソッ」
その時、
暴走した常闇のダークシャドウが、敵ヴィランを一撃で踏み潰した
「早く光を!暴走している!」
すかさず炎をダークシャドウに当てると、しゅんと小さくなった